か」
「大変|難《むづかし》く成りましたのね。さうですね、それは那箇《どつち》かが非《わる》い事も有りませう。又女の性分にも由りますけれど、一概に女と云つたつて、一つは齢《とし》に在るので御座いますね」
「はあ、齢に在ると云ふと?」
「私共《わたくしども》の商買《しようばい》の者は善くさう申しますが、女の惚れるには、見惚《みぼれ》に、気惚《きぼれ》に、底惚《そこぼれ》と、かう三様《みとほり》有つて、見惚と云ふと、些《ちよい》と見たところで惚込んで了ふので、これは十五六の赤襟《あかえり》盛に在る事で、唯奇麗事でありさへすれば可いのですから、全《まる》で酸いも甘いもあつた者ぢやないのです。それから、十七八から二十《はたち》そこそこのところは、少し解つて来て、生意気に成りますから、顔の好いのや、扮装《なり》の奇《おつ》なのなんぞには余《あんま》り迷ひません。気惚と云つて、様子が好いとか、気合が嬉いとか、何とか、そんなところに目を着けるので御座いますね。ですけれど、未《ま》だ未だやつぱり浮気なので、この人も好いが、又あの人も万更でなかつたりなんぞして、究竟《つまり》お肚《なか》の中から惚れると
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