有る」
「はあ」
「一体男と女とでは、だね、那箇《どつち》が情合が深い者だらうか」
「あら、何為《なぜ》で御座います」
「まあ、何為《なぜ》でも、お前さんはどう思ふ」
「それは、貴方、女の方がどんなに情が」
「深いと云ふのかね」
「はあ」
「信《あて》にならんね」
「へえ、信にならない証拠でも御座いますか」
「成程、お前さんは別かも知れんけれど」
「可《よ》う御座いますよ!」
「いいえ、世間の女はさうでないやうだ。それと云ふが、女と云ふ者は、慮《かんがへ》が浅いからして、どうしても気が移り易《やす》い、これから心が動く――不実を不実とも思はんやうな了簡も出るのだ」
「それはもう女は浅捗《あさはか》な者に極《きま》つてゐますけれど、気が移るの何のと云ふのは、やつぱり本当に惚《ほ》れてゐないからです。心底から惚れてゐたら、些《ちつと》も気の移るところは無いぢや御座いませんか。善く女の一念と云ふ事を申しますけれど、思窮《おもひつ》めますと、男よりは女の方が余計夢中に成つて了ひますとも」
「大きにさう云ふ事は有る。然し、本当に惚れんのは、どうだらう、女が非《わる》いのか、それとも男の方が非いの
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