又|直《ただ》ちに重きに堪《た》へざらんやうの頭《かしら》を支へて、机に倚《よ》れり。
緑|濃《こまや》かに生茂《おひしげ》れる庭の木々の軽々《ほのか》なる燥気《いきれ》と、近き辺《あたり》に有りと有る花の薫《かをり》とを打雑《うちま》ぜたる夏の初の大気は、太《はなは》だ慢《ゆる》く動きて、その間に旁午《ぼうご》する玄鳥《つばくら》の声|朗《ほがらか》に、幾度《いくたび》か返しては遂《つひ》に往きける跡の垣穂《かきほ》の、さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の石榴《ざくろ》に四時過の西日の夥《おびただし》く輝けるを、彼は煩《わづらは》しと目を移して更に梧桐《ごどう》の涼《すずし》き広葉を眺めたり。
文の主《ぬし》はかかれと祈るばかりに、命を捧げて神仏《かみほとけ》をも驚かししと書けるにあらずや。貫一は又、自ら何の故《ゆゑ》とも知らで、独《ひと》りこれのみ披《ひら》くべくもあらぬ者を披き見たるにあらずや。彼を絡《まと》へる文は猶解けで、巌《いはほ》に浪《なみ》の瀉《そそ》ぐが如く懸《かか》れり。
そのままに専《ひた》と思入るのみなりし貫一も、漸《やうや》く悩《なやまし》く覚えて身動《みじ
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