づはあらあらかしこ。

   五月二十五日
おろかなる女|※[#表現不可、466−10]《より》[#行末より2字上げ]
     恋《こひし》き恋き
       生別《いきわかれ》の御方様《おんかたさま》
            まゐる

     第 二 章

 隣に養へる薔薇《ばら》の香《か》の烈《はげし》く薫《くん》じて、颯《さ》と座に入《い》る風の、この読尽《よみつく》されし長き文《ふみ》の上に落つると見れば、紙は冉々《せんせん》と舞延びて貫一の身を※[#「※」は「(螢−虫)/糸」、467−1]《めぐ》り、猶《なほ》も跳《をど》らんとするを、彼は徐《しづか》に敷据ゑて、その膝《ひざ》に慵《ものう》げなる面杖《つらづゑ》※[#「※」は「てへん+主」、467−2]《つ》きたり。憎き女の文なんど見るも穢《けがらは》しと、前《さき》には皆|焚棄《やきす》てたりし貫一の、如何《いか》にしてこたびばかりは終《つひ》に打拆《うちひら》きけん、彼はその手にせし始に、又は読去りし後に、自らその故《ゆゑ》を譲《せ》めて、自ら知らざるを愧《は》づるなりき。
 彼はやがて屈《かが》めし身を起ししが、
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