可申《あひなりまをすべく》、さやうには候へども、筆取る事|相叶《あひかな》ひ候間は、臨終までの胸の内御許に通じまゐらせ度《たく》存候《ぞんじさふら》へば、覚束無《おぼつかな》くも何なりとも相認《あひしたた》め可申候《まをすべくさふらふ》。
 私事|空《むなし》く相成候とも、決して余《よ》の病にては無之《これなく》、御前様《おんまへさま》御事《おんこと》を思死《おもひじに》に死候《しにさふらふ》ものと、何卒《なにとぞ》々々|御愍《おんあはれ》み被下《くだされ》、其段《そのだん》はゆめゆめ詐《いつはり》にては無御座《ござなく》、みづから堅く信じ居候事に御座候。
 明日《みようにち》は御前様《おんまへさま》御誕生日《ごたんじようび》に当り申候へば、わざと陰膳《かげぜん》を供へ候て、私事も共に御祝《おんいは》ひ可申上《まをしあぐべく》、嬉《うれし》きやうにも悲きやうにも存候。猶くれぐれも朝夕《ちようせき》の御自愛御大事に、幾久く御機嫌好《ごきげんよ》う明日を御迎《おんむか》へ被遊《あそばされ》、ますます御繁栄に被為居候《ゐらせられさふらふ》やう、今は世の望も、身の願も、それのみに御座候。
 ま
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