大抵ならず御迷惑|被遊候《あそばされさふらふ》御事《おんこと》と、山々|御察《おんさつ》し申上候へども、一向さやうに御内合《おんうちあひ》とも存ぜず、不躾《ぶしつけ》に参上いたし候段は幾重にも、御詫申上《おんわびまをしあげ》まゐらせ候。
 尚《なほ》数々《かずかず》申上度《まをしあげたく》存候事《ぞんじさふらふこと》は胸一杯にて、此胸の内には申上度事《まをしあげたきこと》の外は何も無御座候《ござなくさふら》へば、書くとも書くとも尽き申間敷《まをすまじく》、殊《こと》に拙《つたな》き筆に候へば、よしなき事のみくだくだしく相成候ていくらも、大切の事をば書洩《かきもら》し候が思残《おもひのこり》に御座候。惜き惜き此筆|止《とど》めかね候へども、いつの限無く手に致し居り候事も叶《かな》ひ難《がた》く、折から四時の明近《あけちか》き油も尽き候て、手元暗く相成候ままはやはや恋《こひし》き御名を認《したた》め候て、これまでの御別《おんわかれ》と致しまゐらせ候。
 唯今《ただいま》の此の気分苦く、何とも難堪《たへがた》き様子にては、明日は今日よりも病重き事と存候《ぞんじさふらふ》。明後日は猶重くも相成
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