つま》つて心中なんぞを為た、と人に嗤《わらわ》れましても、情婦《をんな》の体を売つたお陰で、やうやう那奴《あいつ》等は助つてゐるのだ、と一生涯言れますのは不好《いや》で御座います。そんな了簡が出ます程なら、両個《ふたり》の命ぐらゐ助ける方は外に幾多《いくら》も御座いますので。
ここに活きてゐやうと云ふには、どうでもこの上の悪事を為んければ成りませんので、とても死ぬより外は無い! 私は死ぬと覚悟を為たが、お前の了簡はどうか、と実は私が申しましたので」
「成程。そこで貴方が?」
「私は今更富山なんぞにどうしやうと申したのも、究竟《つまり》私ゆゑにそんな訳に成つた狭山さんが、どうにでも助けたいばかりなんで御座いますから、その人が死ぬと言ふのに、私|一箇《ひとり》残つてゐたつて、為様が有りは致しません。貴方が死ぬなら、私も死ぬ――それぢや一処にと約束を致して、ここへ参つたんで御座います」
「いや、善く解りました!」
貫一は宛然《さながら》我が宮の情急《じようきゆう》に、誠壮《まことさかん》に、凛《りん》たるその一念の言《ことば》を、かの当時に聴くらん想して、独《ひと》り自ら胸中の躍々として
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