」は「糸+察」、436−13]《さやさや》と乱れ合ひて、転《うた》た雨|濃《こまやか》なる深夜を驚《おどろ》かせり。
「ええ、もう好《す》かない!」
 帯緊《おびし》めながら女はその端《はし》を振りて身悶《みもだえ》せるなり。
「どうしたのだ」
「なあにね、帯がこんなに結《むす》ばつて了つて」
「帯が結ばつた?」
「ああ! あなた釈《と》いて下さい、よう」
「何か吉《い》い事が有るのだ」
「私はもしも遣損《やりそこな》つて、耻《はぢ》でも曝《さら》すやうな事が有つちやと、それが苦労に成つて耐《たま》らなかつたんだから、これでもう可いわ」
「それは大丈夫だから安心するが可い。けれど、もしもだ、お静、そんな事は無いとは念ふけれど、運悪く遅れたら、俺《おれ》はきつと後から往くから――どんなにしても往くから、恨まずに待つてゐてくれ。よ、可……可いか」
 つと俯《ふ》したるお静は、男の膝を咬《か》みて泣きぬ。
「その代り、偶《ひよつ》としてお前が後になるやうだつたら、俺は死んでも……魂《たましひ》はおまへの陰身《かげみ》を離れないから、必ず心変《こころがはり》を……す、するなよ、お静」
「そんな
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