ては困る。又お前にしても、学問を仕上げて、なう、天晴《あつぱれ》の人物に成るのが第一の希望《のぞみ》であらう。その志を遂《と》げさへ為れば、宮と一所になる、ならんはどれ程の事でもないのだ。なう、さうだらう、然《しか》しこれは理窟《りくつ》で、お前も不服かも知れん。不服と思ふから私も頼むのだ。お前に頼《たのみ》が有ると言うたのはこの事だ。
従来《これまで》もお前を世話した、後来《これから》も益世話をせうからなう、其処《そこ》に免じて、お前もこの頼は聴いてくれ」
貫一は戦《をのの》く唇《くちびる》を咬緊《くひし》めつつ、故《ことさ》ら緩舒《ゆるやか》に出《いだ》せる声音《こわね》は、怪《あやし》くも常に変れり。
「それぢや翁様《をぢさん》の御都合で、どうしても宮《みい》さんは私に下さる訳には参らんのですか」
「さあ、断《た》つて遣れんと云ふ次第ではないが、お前の意はどうだ。私の頼は聴ずとも、又自分の修業の邪魔にならうとも、そんな貪着《とんちやく》は無しに、何でもかでも宮が欲しいと云ふのかな」
「…………」
「さうではあるまい」
「…………」
得言はぬ貫一が胸には、理《ことわり》に似た
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