舎《ゐなか》へ行つて了ふと云ふのを、それは心細がつて、力を落したの何のと云つたら、私も別れるのが気の毒に成るくらゐで、先へ落付いたら、どうぞ一番に住所《ところ》を知せてくれ、初中終《しよつちゆう》旅を出行《である》いてゐる体だから、直《ぢき》に御機嫌伺《ごきげんうかが》ひに出ると、その事をあんなに懇々《くれぐれ》も頼んでゐましたから、後で聞いたら、さぞ吃驚《びつくり》して……きつと疾《わづら》ひでも為るでせうよ。考へて見りや、丹子も可愛《かはい》し、あの阿母さんも怜《いとし》いし。吁《ああ》、吁!」
歔欷《すすりなき》して彼は悶《もだ》えつ。
「さう云ふ訳ぢや、猶更《なほさら》内ぢや大騒をして捜してゐる事だらう」
「大変でせうよ」
「それだと余《あんま》り遅々《ぐづぐづ》しちやゐられないのだ」
「どうで、狭山さん、先は知れてゐ……」
「さうだ」
「だからねえ、もう早い方が可ござんすよ」
女は咽《むせ》びて其処《そこ》に泣伏しぬ。狭山は涙を連※[#「※」は「目+荅」、431−4]《しばたた》きて、
「お静、おい、お静や」
「あ……あい。狭山さん!」
憐《あはれ》むべし、情極《じよう
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