られて行つたとお思ひなさい。あの長尻《ながちり》だから、さあ又還らない、さうして何か所思《おもはく》でも有つたんでせうよ、何だか知らないけれど、その晩に限つて無闇《むやみ》とお酒を強《しひ》るんでさ。這箇《こつち》も鬱勃肚《むしやくしやばら》で、飲めも為ないのに幾多《いくら》でも引受けたんだけれど、酔ひさうにも為やしない。
 その内に漸々《そろそろ》又お極《きま》りの気障《きざ》な話を始めやがつて、這箇《こつち》が柳に受けて聞いてゐて遣りや、可いかと思つて増長して、呆《あき》れた真似《まね》を為やがるから、性の付く程|諤々《つけつけ》さう言つて遣つたら、さあ自棄《やけ》に成つて、それから毒吐《どくつ》き出して、やあ店番の埃被《ほこりかぶり》だの、冷飯吃《ひやめしくら》ひの雇人《やとひにん》がどうだのと、聞いちやゐられないやうな腹の立つ事を言やがるから、這箇《こつち》も思切つて随分な悪体《あくたい》を吐《つ》いて遣つたわ、私は。
 さうすると、了局《しまひ》に那奴は何と言ふかと思ふと、幾許《いくら》七顛八倒《じたばた》しても金で縛《しば》つて置いた体だなんぞ、と利《き》いた風な事を言ふん
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