も楽を為せない算段を為る。私だつて金属《かね》で出来た機械ぢやなし、さうさう駆使《こきつか》はれてお為にばかり成つてゐちや、這箇《こつち》の身が立ちはしない。
 別にどうしてくれなくても、訳さへ解つてゐてくれりや、辛いぐらゐは私は辛抱する。所歓《いろ》は堰《せ》いて了ふし、旦那取《だんなとり》は為ろと云ふ。そんな不可《いや》な真似《まね》を為なくても、立派に行くやうに私が稼いであるんぢやありませんか。それをさう云ふ無理を言つてからに、素直でないの、馬鹿だのと、足蹴に為るとは……何……何事で……せう!
 それぢや私も赫《かつ》として、もう我慢が為切れなく成つたから、物も言はずに飛出さうと為る途端に、運悪く又|那奴《あいつ》が遣つて来たんぢやありませんか。さあ、捉《つかま》つて了つて、其処《そこ》の場図《ばつ》で迯《にげ》るには迯られず、阿母《おつか》さんは得《え》たり賢《かしこ》しなんでせう、一処に行け行けと聒《やかまし》く言ふし、那奴は何でも来いと云つて放さない。私も内を出た方が都合が好いと思つたから、まあ言ふなりに成つて、例の処へ※[#「※」は「てへん+曳」、428−15]《ひつぱ》
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