苦労を為なけりやなるまいと、そればかりに牽《ひか》されて、色々話も有るものだから、あの子の阿母さんにも逢つて遣りたし、それに、私も出るに就いちや、為て置かなけりやならない事も有るし為るので、到頭|遅々《ぐづぐづ》して出損《でそこな》つて了つたんです。
 さうすると、どうでせう、まあ、那奴はその晩二時過までうで付[#「うで付」に傍点]いてゐて、それでも不承々々に還《かへ》つたのは可い。すると翌日《あくるひ》は半日阿母さんのお談義が始まつて、好加減に了簡《りようけん》を極めろでせう。さう言つちや済まないけれど、育てた恩も聞飽きてゐるわ。それを追繰返《おつくりかへ》し、引繰返《ひつくりかへ》し、悪体交《あくたいまじ》りには、散々聴せて、了局《しまひ》は口返答したと云つて足蹴《あしげ》にする。なあに、私は足蹴にされたつて、撲《ぶた》れたつて、それを悔いとは思やしないけれど、這箇《こつち》だつて貴方と云ふ者が有ると思ふから、もう一生懸命に稼《かせ》いで、為るだけの事は丁《ちやん》と為てあるのに、何ぼ慾にきりが無いと謂つても、自分の言条《いひじよう》ばかり通さうとして、他《ひと》には些《ちつと》で
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