がみ》しつつ苦しげに嗤笑《ししよう》せり。
「馬鹿も大馬鹿よ! 方図の知れない馬鹿だわ。畜生! 所歓《いろ》の有る女が金で靡《なび》くか、靡かないか、些《ちつと》は考へながら遊ぶが可い。来りや不好《いや》な顔を為て遣るのに、それさへ解らずに、もう※[#「※」は「勞/心」、426−12]《うるさ》く附けつ廻しつして、了局《しまひ》には人の恋中の邪魔を為やがるとは、那奴も能《よ》く能くの芸無猿《げいなしざる》に出来てゐるんだ。憎さも憎し、私はもう悔くて、悔くて、狭山さん、実はね、私はこの世の置土産《おきみやげ》に、那奴の額を打割《ぶちわ》つて来たんでさね」
「ええ、どうして!」

「なあにね、貴方に別れたあの翌日《あくるひ》から、延続《のべつ》に来てゐやがつて、ちつとでも傍《そば》を離さないんぢやありませんか。這箇《こつち》は気が気ぢやないところへ、もう悪漆膠《わるしつこ》くて耐《たま》らないから、病気だと謂《い》つて内へ遁《に》げて来りや、直《すぐ》に追懸《おつか》けて来て、附絡《つきまと》つてゐるんでせう。さうすると寸法は知れてまさね、丁《ちやん》と渉《わたり》が付いてゐるんだから、阿
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