占《うらな》はんと試《こころむ》るまでに、いと善く見極《みきは》めたり。されども、いかにせん、彼の相するところは始に疑ひしところと頗《すこぶ》る一致せざる者有り。彼|若《も》し実《まこと》に人を懼るると為《せ》ば、彼の人を懼るる所以《ゆゑん》と、我より彼の人を懼るる所以と為《な》す者とは、或《あるひ》は稍《やや》趣《おもむき》を異《こと》にせざらんや。又想ふに、彼は決して自ら尤《とがむ》るところなど有るに非ずして、止《た》だその性《せい》の多羞《シャイ》なるが故のみか、未だ知るべからず。この二者《ふたつ》の前《さき》のをも取り難く、さすがに後のにも頷《うなづ》きかねて、彼は又|新《あらた》に打惑《うちまど》へり。
 午飯《ひるめし》の給仕には年嵩《としかさ》の婢《をんな》出でたれば、余所《よそ》ながらかの客の事を問ひけるに、箸《はし》をも取らで今外に出で行きしと云ふ。
「はあ、飯《めし》も食はんで? 何処《どこ》へ行つたのかね」
「何でも昨日《きのふ》あたりお連様《つれさま》がお出《いで》の筈《はず》になつてをりましたので御座いませう。それを大相お待ちなすつてゐらつしやいましたところが
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