の旅との照応急に、因縁深きに似て、などかくは我を驚かすの太甚《はなはだし》き!
 奇を弄《ろう》して益《ますます》出づる不思議に、彼は益|懼《おそれ》を作《な》して、或《あるひ》はこの裏《うち》に天意の測り難き者有るなからんや、とさすがに惑ひ苦めり。
 やがて傍近《そばちか》く寄りて、幾許《いかばかり》似たると眺《なが》むれば、打披《うちひら》ける葩《はなびら》は凛《りん》として玉を割《さ》いたる如く、濃香|芬々《ふんふん》と迸《ほとばし》り、葉色に露気《ろき》有りて緑鮮《みどりあざやか》に、定《さだめ》て今朝《けさ》や剪《き》りけんと覚《おぼし》き花の勢《いきほひ》なり。
 少《しばら》く楽まされし貫一も、これが為に興冷《きようさ》めて、俄《にはか》に重き頭《かしら》を花の前に支へつつ、又かの愁《うれひ》を徐々に喚起《よびおこ》さんと為つ。
「お風呂へ御案内申しませう」
 その声に彼は婢《をんな》を見返りて、
「ああ、姐《ねえ》さん、この花を那裏《そつち》へ持つて行つておくれでないか」
「はあ、その花で御座いますか。旦那《だんな》様は百合の花はお嫌《きら》ひで?」
「いや、匂《にほひ
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