いなる古鏡《こきよう》の沈める如く、深く蔽《おほ》へる岸樹《がんじゆ》は陰々として眠るに似たり。貫一は覚えず踏止りぬ。
かの逆巻《さかま》く波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし其処《そこ》の景色に、似たりとも酷《はなは》だ似たる岸の布置《たたずまひ》、茂《しげり》の状況《ありさま》、乃至《ないし》は漾《たた》ふる水の文《あや》も、透徹《すきとほ》る底の岩面《いはづら》も、広さの程も、位置も、趣《おもむき》も、子細に看来《みきた》ればいよいよ差《たが》はず。
彼は眦《まなじり》を決《さ》きて寒慄《かんりつ》せり。
怪《あやし》むべき哉《かな》、曾《かつ》て経《へ》たりし塲《ところ》をそのままに夢むる例《ためし》は有れ、所拠《よりどころ》も無く夢みし跡を、歴々《まざまざ》とかく目前に見ると云ふも有る事か。宮の骸《むくろ》の横《よこた》はりし処も、又は己《おのれ》の追来《おひき》し筋も、彼処《かしこ》よ、此処《ここ》よと、陰《ひそか》に一々|指《ゆびさ》しては、限無《かぎりな》く駭《おどろ》けるなり。
車夫を顧みて、処の名を問へば、不動沢《ふどうざわ》と言ふ。
物可恐《ものお
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