さぐ》り得べき。
 抑《そもそ》も塩原の地形たる、塩谷郡《しおやごおり》の南より群峰の間を分けて深く西北に入《い》り、綿々として箒川《ははきがわ》の流に沂《さかのぼ》る片岨《かたそば》の、四里に岐《わか》れ、十一里に亙《わた》りて、到る処|巉巌《ざんがん》の水を夾《はさ》まざる無きは、宛然《さながら》青銅の薬研《やげん》に瑠璃末《るりまつ》を砕くに似たり。先づ大網《おほあみ》の湯を過《すぐ》れば、根本山《ねもとやま》、魚止滝《うおどめのたき》、児《ちご》ヶ淵《ふち》、左靱《ひだりうつぼ》の険は古《ふ》りて、白雲洞《はくうんどう》は朗《ほがらか》に、布滝《ぬのだき》、竜《りゆう》ヶ鼻《はな》、材木石《ざいもくいし》、五色石《ごしきせき》、船岩《ふないわ》なんどと眺行《ながめゆ》けば、鳥井戸《とりいど》、前山《まえやま》の翠衣《みどりころも》に染みて、福渡《ふくわた》の里に入《い》るなり。
 途《みち》すがら前面《むかひ》の崖《がけ》の処々《ところどころ》に躑躅《つつじ》の残り、山藤の懸れるが、甚《はなは》だ興有りと目留まれば、又この辺《あたり》殊《こと》に谿浅《たにあさ》く、水澄みて、大
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