遙《はるか》に木隠《こがくれ》の音のみ聞えし流の水上《みなかみ》は浅く露《あらは》れて、驚破《すは》や、ここに空山《くうざん》の雷《いかづち》白光《はつこう》を放ちて頽《くづ》れ落ちたるかと凄《すさま》じかり。道の右は山を※[#「※」は「劉」の「金」の代わりに「亞」、402−12]《き》りて長壁と成し、石幽《いしゆう》に蘚碧《こけあを》うして、幾条《いくすぢ》とも白糸を乱し懸けたる細瀑小瀑《ほそたきこたき》の珊々《さんさん》として濺《そそ》げるは、嶺上《れいじよう》の松の調《しらべ》も、定《さだめ》てこの緒《を》よりやと見捨て難し。
俥を駆《か》りて白羽坂《しらはざか》を踰《こ》えてより、回顧橋《みかへりばし》に三十尺の飛瀑《ひばく》を※[#「※」は「足+喬」、402−14]《ふ》みて、山中の景は始て奇なり。これより行きて道有れば、水有り、水有れば、必ず橋有り、全渓にして三十橋、山有れば巌有《いはあ》り、巌有れば必ず瀑《たき》有り、全嶺《ぜんれい》にして七十瀑。地有れば泉有り、泉有れば必ず熱有り、全村にして四十五湯。猶《なほ》数ふれば十二勝、十六名所、七不思議、誰《たれ》か一々|探《
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