の心情は察しても可からう、それを察してゐるのが善く解るやうな挨拶《あいさつ》を為てくれと云ふのぢやありませんか。実際それは余程|難《むづかし》い、別にどうも外に言ひ様も無いですわ」
「まあ何でも宜《よろし》う御座いますから、私の満足致しますやうな御挨拶をなすつて下さいまし」
「だから、何と言つたら貴方が満足なさるのですか」
「私のこの心を汲んでさへ下されば、それで満足致すので御座います」
「貴方の思召《おぼしめし》は実に難有《ありがた》いと思つてゐます。私は永く記憶してこれは忘れません」
「間さん、きつとで御座いますか、貴方」
「勿論です」
「きつとで御座いますね」
「相違ありません!」
「きつと?」
「ええ!」
「その証拠をお見せ下さいまし」
「証拠を?」
「はあ。口頭《くちさき》ばかりでは私|可厭《いや》で御座います。貴方もあれ程|確《たしか》に有仰《おつしや》つたのですから、万更心に無い事をお言ひ遊ばしたのでは御座いますまい。さやうならそれだけの証拠が有る訳です。その証拠を見せて下さいますか」
「みせられる者なら見せますけれど」
「見せて下さいますか」
「見せられる者なら。然し…
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