了簡《りようけん》ではないのです。又貴方の御迷惑に成る秘密を洩《もら》しましたところで、※[#「※」は「りっしんべん+(篋−竹)」、380−2]《かな》はない願が※[#「※」は「りっしんべん+(篋−竹)」]ふ訳ではないので御座いませう。どう思召してゐらつしやるか存じませんけれど、私それ程|卑怯《ひきよう》な女ではない積《つもり》で御座います。
世間へ吹聴して貴方を困らせるなどと申したのは、あれは些《ほん》のその場の憎まれ口で、私|決《け》してそんな心は微塵《みじん》も無いので御座いますから、どうかそのお積で、お心持を悪く遊ばしませんやうに。つい口が過ぎましたのですから、御勘弁遊ばしまして。私この通お詫《わび》を致します」
満枝は惜まず身を下《くだ》して、彼の前に頭《かしら》を低《さ》ぐる可憐《しをら》しさよ。貫一は如何《いか》にとも為《す》る能はずして、窃《ひそか》に首《かうべ》を掻《か》いたり。
「就《つ》きましては、私今から改めて折入つた御願が有るので御座いますが貴方も従来《これまで》の貴方ではなしに、十分人情を解してゐらつしやる間さんとして宣告を下して戴きたいので御座います。
前へ
次へ
全708ページ中550ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
尾崎 紅葉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング