すか」
「それが当然《あたりまへ》でなく、極打明けて少しも裹《つつ》まずに言つて戴きたいのですから」
善《よし》と貫一は頷《うなづ》きつ。
「では、きつと有仰つて下さいまし。間さん、貴方《あなた》は私を※[#「※」は「勞/心」、374−8]《うるさ》い奴だと思召してゐらつしやるで御座いませう。私始終さう思ひながら、貴方の御迷惑もかまはずにやつぱりかうして附纏《つきまと》つてゐるのは、自分の口から箇様《かよう》な事を申すのも、甚《はなは》だ可笑《をかし》いので御座いますけれど、私、実に貴方の事は片時でも忘れは致しませんのです。それは如何《いか》に思つてをりましたところが、元来《もともと》私と云ふ者を嫌《きら》ひ抜いて御在《おいで》なのですから、あの歌が御座いますね、行く水に数画《かずか》くよりも儚《はかな》きは、思はぬ人を思ふなりけりとか申す、実にその通り、行く水に数を画くやうな者で、私の願の※[#「※」は「りっしんべん+(篋−竹)」、374−13]《かな》ふ事は到底無いので御座いませう。もうさうと知りながら、それでも、間さん、私こればかりは諦《あきら》められんので御座います。
こん
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