来《よこ》した!」
彼はこれのみ開封せずして、やがて他の読※[#「※」は「土/冖/一/几」、336−11]《よみがら》と一つに投入れし鞄を※[#「※」は「石+殷」、336−11]《はた》と閉づるや、枕に引寄せて仰臥《あふぎふ》すと見れば、はや目を塞《ふさ》ぎて睡《ねむり》を促さんと為るなりき。されども、彼は能《よ》く睡《ねぶ》るを得べきか。さすがにその人の筆の蹟《あと》を見ては、今更に憎しとも恋しとも、絶えて念《おもひ》には懸けざるべしと誓へる彼の心も、睡らるるまでに安かる能はざるなり。
いで、この文こそは宮が送りし再度の愬《うつたへ》にて、その始て貫一を驚かせし一札《いつさつ》は、約《およ》そ二週間前に彼の手に入りて、一字も漏れずその目に触れしかど、彼は曩《さき》に荒尾に答へしと同様の意を以《も》てその自筆の悔悟を読みぬ。こたびとてもまた同き繰言《くりごと》なるべきを、何の未練有りて、徒《いたづら》に目を汚《けが》し、懐《おもひ》を傷《きずつ》けんやと、気強くも右より左に掻遣《かきや》りけるなり。
宮は如何《いか》に悲しからん! この両度の消息は、その苦き胸を剖《さ》き、その切
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