きに失敬した」
「荒尾さん」
 満枝は※[#「※」は「しんにょう+官」、329−7]《のが》さじと呼留めて、
「かう云ふ処で申上げますのも如何《いかが》で御座いますけれど」
「ああ、そりや此《ここ》で聞くべき事ぢやない」
「けれど毎《いつ》も御不在ばかりで、お話が付きかねると申して弱り切つてをりますで御座いますから」
「いや、会うたところでからに話の付けやうもないのじや。遁《に》げも隠れも為んから、まあ、時節を待つて貰はうさ」
「それはどんなにもお待ち申上げますけれど、貴方の御都合の宜《よろし》いやうにばかり致してはをられませんで御座います。そこはお察しあそばしませな」
「うう、随分|酷《ひど》い事を察しさせられるのじやね」
「近日に是非|私《わたくし》お願ひ申しに伺ひますで御座いますから、どうぞ宜く」
「そりや一向宜くないかも知れん」
「ああ、さう、この前でございましたか、あの者が伺ひました節、何か御無礼な事を申上げましたとかで、大相な御立腹で、お刀をお抜き遊ばして、斬《き》つて了《しま》ふとか云ふ事が御座いましたさうで」
「有つた」
「あれ、本当にさやうな事を遊ばしましたので?」

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