されども彼は猶目を放たず、宮はわざと打背《うちそむ》きて、裁片畳《きれたたふ》の内を撈《かきさが》せり。
「宮《みい》さん、お前さんどうしたの。ええ、何処《どこ》か不快《わるい》のかい」
「何ともないのよ。何故《なぜ》?」
 かく言ひつつ益《ますます》急に撈《かきさが》せり。貫一は帽を冠《かぶ》りたるまま火燵に片肱掛《かたひぢか》けて、斜《ななめ》に彼の顔を見遣《みや》りつつ、
「だから僕は始終水臭いと言ふんだ。さう言へば、直《ぢき》に疑深《うたぐりぶか》いの、神経質だのと言ふけれど、それに違無いぢやないか」
「だつて何ともありもしないものを……」
「何ともないものが、惘然《ぼんやり》考へたり、太息《ためいき》を吐《つ》いたりして鬱《ふさ》いでゐるものか。僕は先之《さつき》から唐紙《からかみ》の外で立つて見てゐたんだよ。病気かい、心配でもあるのかい。言つて聞《きか》したつて可いぢやないか」
 宮は言ふところを知らず、纔《わづか》に膝の上なる紅絹《もみ》を手弄《てまさぐ》るのみ。
「病気なのかい」
 彼は僅《わづか》に頭《かしら》を掉《ふ》りぬ。
「それぢや心配でもあるのかい」
 彼
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