上げるのは、実際恥入る次第で、言ふ事は一々曲つてゐるのですから、正《ただし》い、直《すぐ》なお耳へは入《い》らんところではない。逆ふのでございませう。で、潔い貴方と、拗《ねぢ》けた私とでは、始からお話は合はんのですから、それでお話を為る以上は、どうぞ何事もお聞流《ききながし》に願ひます」
「ああ、善く解りました」
「真人間になつてくれんかと有仰《おつしや》つて下すつたのが、私は非常に嬉《うれし》いのでございます。こんな商売は真人間の為る事ではない、と知つてゐながらかうして致してゐる私の心中、辛《つら》いのでございます。そんな思をしつつ何為《なぜ》してゐるか! 曰《いは》く言難《いひがた》しで、精神的に酷《ひど》く傷《きずつ》けられた反動と、先《ま》づ思召《おぼしめ》して下さいまし。私が酒が飲めたら自暴酒《やけざけ》でも吃《くら》つて、体《からだ》を毀《こは》して、それきりに成つたのかも知れませんけれど、酒は可《い》かず、腹を切る勇気は無し、究竟《つまり》は意気地の無いところから、こんな者に成つて了つたのであらうと考へられます」
彼の潔《きよ》しと謂ふなる直道が潔き心の同情は、彼の微見
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