ういたしたら宜《よろし》いのでございませう……間さん、かうなのでございますよ」
「いや、その事なら伺ふ必要は無いのです」
「あら、そんなことを有仰《おつしや》らずに……」
「失礼します。今日《こんにち》は腰の傷部《きず》が又痛みますので」
「おや、それは、お劇《きつ》いことはお在《あん》なさらないのでございますか」
「いえ、なに」
「どうぞお楽に在《ゐら》しつて」
 貫一は無雑作に郡内縞《ぐんないじま》の掻巻《かいまき》引被《ひきか》けて臥《ふ》しけるを、疎略あらせじと満枝は勤篤《まめやか》に冊《かしづ》きて、やがて己《おのれ》も始めて椅子に倚《よ》れり。
「貴方《あなた》の前でこんな事は私申上げ難《にく》いのでございますけれど、実は、あの一昨々日でございますね、ああ云ふ訳で鰐淵さんと御一処に参りましたところが、御飯を食べるから何でも附合へと有仰《おつしや》るので、湯島《ゆしま》の天神の茶屋へ寄りましたのでございます。さう致すと、案の定|可厭《いやらし》い事をもうもう執濃《しつこ》く有仰るのでございます。さうして飽くまで貴方の事を疑《うたぐ》つて、始終それを有仰るので、私一番それには困
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