りました。あの方もお年効《としがひ》の無い、物の道理がお解りにならないにも程の有つたもので、一体私を何と思召《おぼしめ》してゐらつしやるのか存じませんが、客商売でもしてをる者に戯《たはむ》れるやうな事を、それも一度や二度ではないのでございますから、私残念で、一昨々日なども泣いたのでございます。で、この後二度とそんな事の有仰れないやうに、私その場で十分に申したことは申しましたけれど、変に気を廻してゐらつしやる方の事でございますから、取《と》んだ八当《やつあたり》で貴方へ御迷惑が懸りますやうでは、何とも私申訳がございませんから、どうぞそれだけお含み置き下さいまして、悪《あし》からず……。
今度お会ひあそばしたら、鰐淵さんが何とか有仰るかも知れません。さぞ御迷惑でゐらつしやいませうけれど、そこは宜《よろし》いやうに有仰つて置いて下さいまし。それも貴方が何とか些《ちよつと》でも思召してゐらつしやる方とならば、そんな事を有仰られるのもまた何でございませうけれど、嫌抜《きらひぬ》いてお在《いで》あそばす私《わたくし》のやうな者と訳でもあるやうに有仰《おつしや》られるのは、さぞお辛くてゐらつしやい
前へ
次へ
全708ページ中356ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
尾崎 紅葉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング