を作《な》して直行を打見遣《うちみや》りつつ、その面《おもて》を引廻《ひきめぐら》して、やがて非《あら》ぬ方《かた》を目戍《まも》りたり。
「いや、いや、な、決《け》して、そんな訳ぢや……」
「余《あんま》りな御挨拶で! 女だと思召《おぼしめ》して有仰《おつしや》るのかは存じませんが、それまでのお指図《さしづ》は受けませんで宜《よろし》うございます」
「いや、そんなに悪う取られては甚《はなは》だ困る、畢竟《ひつきよう》貴方《あんた》の為を思ひますじやに因《よ》つて……」
「何と有仰います。お見舞に出ますのが、何で私《わたくし》の不為《ふため》になるのでございませう」
「それにお心着《こころづき》が無い?」
 その能く用ゐる微笑を弄《ろう》して、直行は巧《たくみ》に温顔を作れるなり。
 満枝は稍《やや》急立《せきた》ちぬ。
「ございません」
「それは、お若いでさう有らう。甚だ失敬ながら、すいぢや申して見やう。な。貴方もお若けりや間も若い。若い男の所へ若い女子《をなご》が度々|出入《でいり》したら、そんな事は無うても、人がかれこれ言ひ易《やす》い、可《え》えですか、そしたら、間はとにかくじ
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