》を向きて、覚めながら目を塞《ふさ》ぎていと静に臥《ふ》したり。附添婆《つきそひばば》の折から出行《いでゆ》きしを候《うかが》ひて、満枝は椅子を躙《にじ》り寄せつつ、
「間《はざま》さん、間さん。貴方《あなた》、貴方」
と枕の端《はし》を指もて音なへど、眠れるにもあらぬ貫一は何の答をも与へず、満枝は起ちてベッドの彼方《あなた》へ廻り行きて、彼の寐顔《ねがほ》を差覗《さしのぞ》きつ。
「間さん」
猶答へざりけるを、軽く肩の辺《あたり》を撼《うごか》せば、貫一はさるをも知らざる為《まね》はしかねて、始めて目を開きぬ。彼はかく覚めたれど、満枝はなほ覚めざりし先の可懐《なつか》しげに差寄りたる態《かたち》を改めずして、その手を彼の肩に置き、その顔を彼の枕に近けたるまま、
「私《わたくし》貴方に些《ちよつ》とお話をして置かなければならない事があるのでございますから、お聞き下さいまし」
「あ、まだ在《ゐら》しつたのですか」
「いつも長居を致して、さぞ御迷惑でございませう」
「…………」
「外でもございませんが……」
彼の隔《へだて》無く身近に狎《な》るるを可忌《うとま》しと思へば、貫一はわざ
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