さと》の兄さんで、末始終力になつて欲いわ」
宮がこの言《ことば》は決して内に自ら欺き、又敢て外に他《ひと》を欺くにはあらざりき。影とも儚《はかな》く隔《へだて》の関の遠き恋人として余所《よそ》に朽さんより、近き他人の前に己を殺さんぞ、同く受くべき苦痛ならば、その忍び易きに就かんと冀《こひねが》へるなり。
「それはさうでもあらうけれど、随分考へ物だよ。あのひとの事なら、内でも時々話が出て、何処にどうしてゐるかしらんつて、案じないぢやないけれど、阿父さんも能《よ》くお言ひのさ、如何《いか》に何だつて、余り貫一の仕打が憎いつて。成程それは、お前との約束ね、それを反古《ほご》にしたと云ふので、齢《とし》の若いものの事だから腹も立たう、立たうけれど、お前自分の身の上も些《ちつと》は考へて見るが可いわね。子供の内からああして世話になつて、全く内のお蔭でともかくもあれだけにもなつたのぢやないか、その恩も有れば、義理も有るのだらう。そこ所《どこ》を些《ちつ》と考へたら、あれぎり家出をして了ふなんて、あんなまあ面抵《つらあて》がましい仕打振をするつてが有るものかね。
それぢやあの約束を反古にして、も
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