、阿母《おつか》さんに会ふ度に、今度は話さう、今度は話さうと思ひながら、私の口からは何と無く話し難《にく》いやうで、実は今まで言はずにゐたのだけれど、その事が初中終《しよつちゆう》苦になる所為《せゐ》で気を傷《いた》めるから体にも障《さは》るのぢやないかと、さう想ふのです」
思凝《おもひこら》せるやうに母は或方を見据ゑつつ、言《ことば》は無くて頷《うなづ》きゐたり。
「それで、私は阿母さんに相談して、貫一さんをどうかして上げたいの――あの時にそんな話も有つたのでせう。さうして依旧《やつぱり》鴫沢《しぎさわ》の跡は貫一さんに取《とら》して下さいよ、それでなくては私の気が済まないから。今までは行方《ゆきがた》が知れなかつたから為方がないけれど、聞合せれば直《ぢき》に分るのだから、それを抛《はふ》つて措《お》いちや此方《こつち》が悪いから、阿父さんにでも会つて貰《もら》つて、何とか話を付けるやうにして下さいな。さうして従来通《これまでどほり》に内で世話をして、どんなにもあの人の目的を達しさして、立派に吾家《うち》の跡を取して下さい。私はさうしたら兄弟の盃《さかづき》をして、何処までも生家《
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