々《いそいそ》と奥に導れぬ。久く垂籠《たれこ》めて友欲き宮は、拯《すくひ》を得たるやうに覚えて、有るまじき事ながら、或は密《ひそか》に貫一の報を齎《もたら》せるにはあらずやなど、枉《ま》げても念じつつ、せめては愁《うれひ》に閉ぢたる胸を姑《しばら》くも寛《ゆる》うせんとするなり。
母は語るべき事の日頃蓄へたる数々を措《お》きて、先づ宮が血色の気遣《きづかはし》く衰へたる故を詰《なじ》りぬ。同じ事を夫にさへ問れしを思合せて、彼はさまでに己の羸《やつ》れたるを惧《おそ》れつつも、
「さう? でも、何処《どこ》も悪い所なんぞ有りはしません。余《あんま》り体を動《いご》かさないから、その所為《せゐ》かも知れません。けれども、この頃は時々気が鬱《ふさ》いで鬱いで耐《たま》らない事があるの。あれは血の道と謂《い》ふんでせうね」
「ああ、それは血の道さ。私なんぞも持病にあるのだから、やつぱりさうだらうよ。それでも、それで痩せるやうぢや良くないのだから、お医者に診《み》てもらふ方が可いよ、放つて措《お》くから畢竟《ひつきよう》持病にもなるのさ」
宮は唯|頷《うなづ》きぬ。
母は不図思起してや、さ
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