も慌忙《あわただ》しげに、
「後が出来たのぢやないかい」
 宮は打笑《うちゑ》みつ。されども例の可羞《はづか》しとにはあらで傍痛《かたはらいた》き余を微見《ほのみ》せしやうなり。
「そんな事はありはしませんわ」
「さう何日《いつ》までも沙汰《さた》が無くちや困るぢやないか。本当に未《ま》だそんな様子は無いのかえ」
「有りはしませんよ」
「無いのを手柄にでもしてゐるやうに、何だね、一人はもう無くてどうするのだらう、先へ寄つて御覧、後悔を為るから。本当なら二人ぐらゐ有つて好い時分なのに、あれきり後が出来ないところを見ると、やつぱり体が弱いのだね。今の内養生して、丈夫にならなくちや可けないよ。お前はさうして平気で、いつまでも若くて居る気なのだらうけれど、本宅の方なんぞでも後が後がつて、どんなに待兼ねてお在《いで》だか知れはしないのだよ。内ぢや又|阿父《おとつ》さんは、あれはどうしたと謂ふんだらう、情無い奴だ。子を生み得ないのは女の恥だつて、慍《おこ》りきつてゐなさるくらゐだのに、当人のお前と云つたら、可厭《いや》に落着いてゐるから、憎らしくてなりはしない。さうして、お前は先《せん》の内は子供
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