でも可いぢやないか、要《い》る物を取寄せてここで拵へなさい」
 彼の電鈴《でんれい》を鳴して、火の傍《そば》に寄来ると斉《ひとし》く、唯継はその手を取りて小脇《こわき》に挾《はさ》みつ。宮は懌《よろこ》べる気色も無くて、彼の為すに任するのみ。
「おまへどうした、何を鬱《ふさ》いでゐるのかね」
 引寄せられし宮はほとほと仆《たふ》れんとして椅子に支へられたるを、唯継は鼻も摩《す》るばかりにその顔を差覗《さしのぞ》きて余念も無く見入りつつ、
「顔の色が甚《はなは》だ悪いよ。雪で寒いんで、胸でも痛むんか、頭痛でもするんか、さうも無い? どうしたんだな。それぢや、もつと爽然《はつきり》してくれんぢや困るぢやないか。さう陰気だと情合《じようあひ》が薄いやうに想はれるよ。一体お前は夫婦の情が薄いんぢやあるまいかと疑ふよ。ええ? そんなことは無いかね」
 忽《たちま》ち闥《ドア》の啓《あ》くと見れば、仲働《なかばたらき》の命ぜし物を持来《もちきた》れるなり。人目を憚《はばか》らずその妻を愛するは唯継が常なるを、見苦しと思ふ宮はその傍《そば》を退《の》かんとすれど、放たざるを例の事とて仲働は見ぬ風《ふ
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