くて止みぬべきを想ひて私《ひそか》に懽《よろこ》べり。
直道は先《ま》づ厳《おごそか》に頭《かしら》を掉《ふ》りて、
「学者でも商業家でも同じ人間です。人間である以上は人間たる道は誰にしても守らんければなりません。私《わたし》は決して金儲を為るのを悪いと言ふのではない、いくら儲けても可いから、正当に儲けるのです。人の弱みに付入《つけい》つて高利を貸すのは、断じて正当でない。そんな事が営業の魂などとは……! 譬《たと》へば間が災難に遭《あ》つた。あれは先は二人で、しかも不意打を吃《くは》したのでせう、貴方はあの所業を何とお考へなさる。男らしい遺趣返《いしゆがへし》の為方とお思ひなさるか。卑劣|極《きはま》る奴等だと、さぞ無念にお思ひでせう?」
彼は声を昂《あ》げて逼《せま》れり。されども父は他を顧て何等の答をも与へざりければ、再び声を鎮《しづ》めて、
「どうですか」
「勿論《もちろん》」
「勿論? 勿論ですとも! 何奴《なにやつ》か知らんけれど、実に陋《きたな》い根性、劣《けち》な奴等です。然し、怨を返すといふ点から謂つたら、奴等は立派に目的を達したのですね。さうでせう、設《たと》ひ
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