やうに為《さ》せなかつたのを熟《つくづ》く後悔したのです。幸《さいはひ》に貴方は無事であつた、から猶更《なほさら》今日は私の意見を用ゐて貰《もら》はなければならんのです。今に阿父さんも間のやうな災難を必ず受けるですよ。それが可恐《おそろし》いから廃めると謂ふのぢやありません、正《ただし》い事で争つて殞《おと》す命ならば、決《け》して辞することは無いけれど、金銭づくの事で怨《うらみ》を受けて、それ故《ゆゑ》に無法な目に遭《あ》ふのは、如何《いか》にも恥曝《はぢさら》しではないですか。一つ間違へば命も失はなければならん、不具《かたは》にも為《さ》れなければならん、阿父さんの身の上を考へると、私は夜も寝られんのですよ。
こんな家業を為《せ》んでは生活が出来んのではなし、阿父さん阿母さん二人なら、一生安楽に過せるほどの資産は既に有るのでせう、それに何を苦んで人には怨まれ、世間からは指弾《つまはぢき》をされて、無理な財《かね》を拵《こしら》へんければならんのですか。何でそんなに金が要《い》るのですか。誰にしても自身に足りる以外の財《かね》は、子孫に遺《のこ》さうと謂ふより外は無いのでせう。貴方
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