ることも出来ず、陰で心配するばかりで、何の役にも立たないながら、これでなかなか苦いのは私の身だよ。
さぞお前は気も済まなからうけれど、とても今のところでは何と言つたところが、応と承知をしさうな様子は無いのだから、憖《なまじ》ひ言合つてお互に心持を悪くするのが果《おち》だから、……それは、お前、何と云つたつて親一人子一人の中だもの、阿父さんだつて心ぢやどんなにお前が便《たより》だか知れやしないのだから、究竟《つまり》はお前の言ふ事も聴くのは知れてゐるのだし、阿父さんだつて現在の子のそんなにまで思つてゐるのを、決して心に掛けないのではないけれども、又|阿父《おとつ》さんの方にも其処《そこ》には了簡《りようけん》があつて、一概にお前の言ふ通にも成りかねるのだらう。
それに今日あたりは、間の事で大変気が立つてゐるところだから、お前が何か言ふと却《かへ》つて善くないから、今日は窃《そつ》として措《お》いておくれ、よ、本当に私が頼むから、ねえ直道」
実《げ》に母は自ら言へりし如く、板挾《いたばさみ》の難局に立てるなれば、ひたすら事あらせじと、誠の一図に直道を諭《さと》すなりき。彼は涙の催すに
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