受けなさる精神なれば、外の迷惑にはならんのですから、些《ほん》の名義を借りるだけの話、それくらゐの事は朋友の誼《よしみ》として、何方《どなた》でも承諾なさりさうなものですがな。究竟《つまり》名義だけあれば宜《よろし》いので、私の方では十分貴方を信用してをるのですから、決《け》してその連帯者に掛らうなどとは思はんのです。ここで何とか一つ廉《かど》が付きませんと、私も主人に対して言訳がありません。利を受取る訳に行かなかつたから、書替をして来たと言へば、それで一先《ひとまづ》句切が付くのでありますから、どうぞ一つさう願ひます」
 遊佐は答ふるところを知らざるなり。
「何方《どなた》でも可うございます、御親友の内で一名」
「可かんよ、それは到底可かんのだよ」
「到底可かんでは私の方が済みません。さう致すと、自然御名誉に関《かかは》るやうな手段も取らんければなりません」
「どうせうと言ふのかね」
「無論|差押《さしおさへ》です」
 遊佐は強《し》ひて微笑を含みけれど、胸には犇《ひし》と応《こた》へて、はや八分の怯気《おじけ》付きたるなり。彼は悶《もだ》えて捩断《ねぢき》るばかりにその髭《ひげ》を
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