忽諸《まごまご》すると飛んで火に入る夏の虫となるのだから、まあ君が行つて何とか話をして見たまへ。僕は様子を立聞して、臨機応変の助太刀《すけだち》を為るから」
いと難《むづか》しと思ひながらも、かくては果てじと、遊佐は気を取直して下り行くなりけり。
風「気の毒な、萎《しを》れてゐる。あれの事だから心配してゐるのだ。君、何とかして拯《すく》つて遣り給へな」
蒲「一つ行つて様子を見て来やう。なあに、そんなに心配するほどの事は無いのだよ。遊佐は気が小いから可《い》かない。ああ云ふ風だから益《ますま》す脚下《あしもと》を見られて好い事を為れるのだ。高が金銭《かね》の貸借《かしかり》だ、命に別条は有りはしないさ」
「命に別条は無くても、名誉に別条が有るから、紳士たるものは懼《おそ》れるだらうぢやないか」
「ところが懼れない! 紳士たるものが高利《アイス》を貸したら[#「貸したら」に傍点]名誉に関らうけれど、高い利を払つて借りるのだから、安利《あんり》や無利息なんぞを借りるから見れば、夐《はるか》に以つて栄とするに足れりさ。紳士たりといへども金銭《かね》に窮《こま》らんと云ふ限は無い、窮つたから借
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