ま》さるると知れる彼の友は皆驚けるなり。或ものは結婚費なるべしと言ひ、或ものは外《おもて》を張らざるべからざる為の遣繰《やりくり》なるべしと言ひ、或ものは隠遊《かくれあそび》の風流債ならんと説くもありて、この不思議の負債とその美き妻とは、遊佐に過ぎたる物が二つに数へらるるなりき。されどもこは謂《い》ふべからざる事情の下に連帯の印《いん》を仮《か》せしが、形《かた》の如く腐れ込みて、義理の余毒の苦を受《うく》ると知りて、彼の不幸を悲むものは、交際官試補なる法学士|蒲田《かまだ》鉄弥と、同会社の貨物課なる法学士|風早庫之助《かざはやくらのすけ》とあるのみ。
凡《およ》そ高利の術たるや、渇者《かつしや》に水を売るなり。渇の甚《はなはだし》く堪《た》へ難き者に至りては、決してその肉を割《さ》きてこれを換ふるを辞せざるべし。この急に乗じてこれを売る、一杯の水もその値《あたひ》玉漿《ぎよくしよう》を盛るに異る無し。故《ゆゑ》に前後不覚に渇する者能くこれを買ふべし、その渇の癒《いゆ》るに及びては、玉漿なりとして喜び吃《きつ》せしものは、素《も》と下水の上澄《うはずみ》に過ぎざるを悟りて、痛恨、痛悔
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