てもらふ人よりは写したがる者の方が多いですからね。さあ、奥さん、まあ、彼方《あちら》へ。静緒、お前奥さんを那処《あすこ》へお連れ申して」
 唯継は目もて示して、
「お前、早く行かんけりや可かんよ、折角かうして御支度《ごしたく》をなすつて下すつたのに、是非願ひな。ええ。あの燈籠の傍《そば》へ立つのだ。この機械は非常に結構なのだから是非願ひな。何も羞含《はにか》むことは無いぢやないか、何羞含む訳ぢやない? さうとも羞含むことは無いとも、始終内で遣《や》つてをるのに、あれで可いのさ。姿勢《かたち》は私が見て遣るから早くおいで。燈籠へ倚掛《よつかか》つて頬杖《ほほづゑ》でも※[#「※」は「てへん+主」、140−14]《つ》いて、空を眺《なが》めてゐる状《かたち》なども可いよ。ねえ、如何《いかが》でせう」
「結構。結構」と子爵は頷《うなづ》けり。
 心は進まねど強ひて否《いな》むべくもあらねば、宮は行きて指定の位置に立てるを、唯継は望み見て、
「さう棒立ちになつてをつちや可かんぢやないか。何ぞ持つてをる方が可いか知らんて」
 かく呟《つぶや》きつつ庭下駄を引掛《ひきか》け、急ぎ行きて、その想へる
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