すがた》に、その客の如何《いか》に貴婦人なるかを窺《うかが》ふべし。鬘《かつら》ならではと見ゆるまでに結做《ゆひな》したる円髷《まるわげ》の漆の如きに、珊瑚《さんご》の六分玉《ろくぶだま》の後挿《うしろざし》を点じたれば、更に白襟《しろえり》の冷※[#「※」は「豐+盍」、123−12]《れいえん》物の類《たぐ》ふべき無く、貴族鼠《きぞくねずみ》の※[#「※」は「糸+芻」、123−12]高縮緬《しぼたかちりめん》の五紋《いつつもん》なる単衣《ひとへ》を曳《ひ》きて、帯は海松《みる》色地に装束《しようぞく》切摸《きれうつし》の色紙散《しきしちらし》の七糸《しちん》を高く負ひたり。淡紅色《ときいろ》紋絽《もんろ》の長襦袢《ながじゆばん》の裾《すそ》は上履《うはぐつ》の歩《あゆみ》に緩《ゆる》く匂零《にほひこぼ》して、絹足袋《きぬたび》の雪に嫋々《たわわ》なる山茶花《さざんか》の開く心地す。
この麗《うるはし》き容《かたち》をば見返り勝に静緒は壁側《かべぎは》に寄りて二三段づつ先立ちけるが、彼の俯《うつむ》きて昇《のぼ》れるに、櫛《くし》の蒔絵《まきゑ》のいと能《よ》く見えければ、ふとそれに
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