それ等を考へまして、もう多時《しばらく》胸に畳んでをつたのでございます。それまで大事を取つてをりながら、かう一も二も無く奇麗にお謝絶《ことわり》を受けては、私実に面目《めんぼく》無くて……余《あんま》り悔《くやし》うございますわ」
 慌忙《あわただし》くハンカチイフを取りて、片手に恨泣《うらみなき》の目元を掩《おほ》へり。
「面目無くて私、この座が起《たた》れません。間さん、お察し下さいまし」
 貫一は冷々《ひややか》に見返りて、
「貴方一人を嫌つたと云ふ訳なら、さうかも知れませんけれど、私は総《すべ》ての人間が嫌なのですから、どうぞ悪《あし》からず思つて下さい。貴方も御飯をお上んなさいな。おお! さうして小車梅《おぐるめ》の件に就いてのお話は?」
 泣赤《なきあか》めたる目を拭《ぬぐ》ひて満枝は答へず。
「どう云ふお話ですか」
「そんな事はどうでも宜《よろし》うございます。間さん、私、どうしても思切れませんから、さう思召《おぼしめ》して下さい。で、お可厭《いや》ならお可厭で宜うございますから、私がこんなに思つてゐることを、どうぞ何日《いつ》までもお忘れなく……きつと覚えてゐらつしやい
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