のが少しでも出来たらと思つてゐます」
満枝は忽《たちま》ち声を斂《をさ》めて、物思はしげに差俯《さしうつむ》き、莨盆の縁《ふち》をば弄《もてあそ》べるやうに煙管《きせる》もて刻《きざみ》を打ちてゐたり。折しも電燈の光の遽《にはか》に晦《くら》むに驚きて顔を挙《あぐ》れば、又|旧《もと》の如く一間《ひとま》は明《あかる》うなりぬ。彼は煙管を捨てて猶暫《なほしば》し打案じたりしが、
「こんな事を申上げては甚《はなは》だ失礼なのでございますけれど、何時まで彼方《あちら》にゐらつしやるよりは、早く独立あそばした方が宜《よろし》いでは御坐いませんか。もし明日にもさうと云ふ御考でゐらつしやるならば、私……こんな事を申しては……烏滸《をこ》がましいので御坐いますが、大した事は出来ませんけれど、都合の出来るだけは御用達申して上げたいのでございますが、さう遊ばしませんか」
意外に打れたる貫一は箸《はし》を扣《ひか》へて女の顔を屹《き》と視《み》たり。
「さう遊ばせよ」
「それはどう云ふ訳ですか」
実に貫一は答に窮せるなりき。
「訳ですか?」と満枝は口籠《くちごも》りたりしが、
「別に申上げなくても
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