うございますか」
「撞着《どうちやく》してゐるぢやありませんか」
「まあそんなに有仰《おつしや》らずに、高《たか》が女の申すことでございますから」
こは事難《ことむづかし》うなりぬべし。克《かな》はぬまでも多少は累を免れんと、貫一は手を拱《こまぬ》きつつ俯目《ふしめ》になりて、力《つと》めて関《かかは》らざらんやうに持成《もてな》すを、満枝は擦寄《すりよ》りて、
「これお一盞《ひとつ》で後は決《け》してお強ひ申しませんですから、これだけお受けなすつて下さいましな」
貫一は些《さ》の言《ことば》も出《いだ》さでその猪口《ちよく》を受けつ。
「これで私の願は届きましたの」
「易《やす》い願ですな」と、あはや出《い》でんとせし唇《くちびる》を結びて、貫一は纔《わづか》に苦笑して止みぬ。
「間さん」
「はい」
「貴方失礼ながら、何でございますか、鰐淵さんの方に未《ま》だお長くゐらつしやるお意《つもり》なのですか。然し、いづれ独立あそばすので御坐いませう」
「勿論《もちろん》です」
「さうして、まづ何頃《いつごろ》彼方《あちら》と別にお成りあそばすお見込なのでございますの」
「資本のやうなも
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