づき》を重ぬる体《てい》を打目戍《うちまも》れり。
「もう一盞《ひとつ》戴きませうか」
笑《ゑみ》を漾《ただ》ふる眸《まなじり》は微醺《びくん》に彩られて、更に別様の媚《こび》を加へぬ。
「もう止したが可いでせう」
「貴方《あなた》が止せと仰有《おつしや》るなら私は止します」
「敢《あへ》て止せとは言ひません」
「それぢや私酔ひますよ」
答無かりければ、満枝は手酌《てじやく》してその半《なかば》を傾けしが、見る見る頬の麗く紅《くれなゐ》になれるを、彼は手もて掩《おほ》ひつつ、
「ああ、酔ひましたこと」
貫一は聞かざる為《まね》して莨を燻《くゆ》らしゐたり。
「間さん、……」
「何ですか」
「私今晩は是非お話し申したいことがあるので御坐いますが、貴方お聴き下さいますか」
「それをお聞き申す為に御同道したのぢやありませんか」
満枝は嘲《あざけら》むが如く微笑《ほほゑ》みて、
「私何だか酔つてをりますから、或は失礼なことを申上げるかも知れませんけれど、お気に障《さ》へては困りますの。然《しか》し、御酒《ごしゆ》の上で申すのではございませんから、どうぞそのお意《つもり》で、宜《よろし》
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