しさを嫌《きら》ひて、更に美人[#「美人」に傍点]の二字にびじ[#「びじ」に傍点]訓を付せしを、校合者《きようごうしや》の思僻《おもひひが》めてん[#「ん」に傍点]字《じ》は添へたるなり。陋《いや》しげなるびじ[#「びじ」に傍点]クリイムの響の中《うち》には嘲弄《とうろう》の意《こころ》も籠《こも》らむとてなり。なほ高諭《こうゆ》を請《こ》ふ(三〇・九・八附読売新聞より)
第 二 章
柵《さく》の柱の下《もと》に在りて帽を揮《ふ》りたりしは、荒尾が言《ことば》の如く、四年の生死《しようし》を詳悉《つまびらか》にせざりし間貫一にぞありける。彼は親友の前に自《みづから》の影を晦《くらま》し、その消息をさへ知らせざりしかど、陰ながら荒尾が動静の概略《あらまし》を伺ふことを怠らざりき、こ回《たび》その参事官たる事も、午後四時発の列車にて赴任する事をも知るを得しかば、余所《よそ》ながら暇乞《いとまごひ》もし、二つには栄誉の錦《にしき》を飾れる姿をも見んと思ひて、群集《くんじゆ》に紛れてここには来《きた》りしなりけり。
何《なに》の故《ゆゑ》に間は四年の音信《おとづれ》を絶ち、又
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