。これが又禿の御意《ぎよい》に入つたところで、女め熟《つらつ》ら高利《アイス》の塩梅《あんばい》を見てゐる内に、いつかこの商売が面白くなつて来て、この身代《しんだい》我物と考へて見ると、一人の親父よりは金銭《かね》の方が大事、といふ不敵な了簡《りようけん》が出た訳だね」
「驚くべきものじやね」
 荒尾は可忌《いまは》しげに呟《つぶや》きて、稍《やや》不快の色を動《うごか》せり。
「そこで、敏捷《びんしよう》な女には違無い、自然と高利《アイス》の呼吸を呑込んで、後には手の足りん時には禿の代理として、何処《どこ》へでも出掛けるやうになつたのは益す驚くべきものだらう。丁度一昨年|辺《あたり》から禿は中気が出て未《いま》だに動けない。そいつを大小便の世話までして、女の手一つで盛《さかん》に商売をしてゐるのだ。それでその前年かに親父は死んだのださうだが、板の間に薄縁《うすべり》を一板《いちまい》敷いて、その上で往生したと云ふくらゐの始末だ。病気の出る前などはろくに寄せ付けなんださうだがな、残刻と云つても、どう云ふのだか余り気が知れんぢやないかな――然《しか》し事実だ。で、禿はその通の病人だから、
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