唾《かたづ》を嚥《の》みたりし荒尾は思ふところありげに打頷《うちうなづ》きて、
「女といふ者はそんなものじやて」
甘糟はその面《おもて》を振仰ぎつつ、
「驚いたね、君にしてこの言あるのは。荒尾が女を解釈せうとは想はなんだ」
「何故かい」
佐分利の話を進むる折から、※[#「※」は「さんずい+氣」、83−12]車《きしや》は遽《にはか》に速力を加へぬ。
佐「聞えん聞えん、もつと大きな声で」
甘「さあ、御順にお膝繰《ひざくり》だ」
佐「荒尾、あの葡萄酒《ぶどうしゆ》を抜かんか、喉《のど》が渇《かわ》いた。これからが佳境に入《い》るのだからね」
甘「中銭《なかせん》があるのは酷《ひど》い」
佐「蒲田《かまだ》、君は好い莨《たばこ》を吃《す》つてゐるぢやないか、一本|頂戴《ちようだい》」
甘「いや、図に乗ること。僕は手廻《てまはり》の物を片附けやう」
佐「甘糟、※[#「※」は「火+卒」、84−2]児《マッチ》を持つてゐるか」
甘「そら、お出《いで》だ。持参いたしてをりまする仕合《しあはせ》で」
佐分利は居長高《ゐたけだか》になりて、
「些《ちよつ》と点《つ》けてくれ」
葡萄酒の紅《くれな
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